「あのさママ…最近さ変な夢よく見るようになったんだ…」
 
 
 
 
「変な夢?それってどんな夢なの…」
 
 
ママの顔つきはその変な夢と言う言葉を聞くと同時に険しくなった。
 
 
 
「なんかよくわからないんだけ絶望の部屋がどうとか言ってた気がする…」
 
 
 
「愛美それほんとなの…?」
 
 
「えっ…うん。なんかみんなも見るって言ってたから気味が悪くて…」
 
 
 
「みんなも見てたって…おかしいわね。」
 
 
はっきり言って私は怖かった。
いつも優しくて怒ったところなんてほとんど見たことなかったママが真剣な顔で私を心配そうに見つめてくるなんて…
 
 
 
「ママなにか知ってるの…?」
 
 
 
「そうね…。
 
 
愛美には1度だけ話したことあったけどやっぱり忘れてたか…。」
 
 
 
「えっ…私聞いたことあるの?」
 
 
 
「うん。あの時はまだ中学に上がりたての時だったから仕方ないわ。」
 
 
 
「そうだったんだ…。
 
 
それでその絶望の部屋ってなんなの…?」
 
 
 
「それはね…」
 
 
 
私はママから絶望の部屋の全てを聞いた。
 
 
聞けば少しきいた覚えもあったような気がした。
パパとママが出会ったのも絶望の部屋だったなんて…
 
 
私がこの家で唯一変だと思っていた墓参りも話を聞けば頷ける。
 
 
 
夏休みが終わったぐらいに毎回ある誰のお墓かわからない人のお墓参りは毎年恒例で大変だった。
 
 
私は正直めんどくさいとしか思ったことがなかったけどパパとママはその時だけは真剣に本当に心の底から感謝しているような表情でしていたな…。
 
 
 
「愛美は人生に絶望してるの…?」
 
 
 
ママは心配そうに聞いてきた。
 
 
 
「ううん。私そんな風に感じたことないしむしろ毎日が楽しいよ。」
 
 
「そう…。じゃあなんで…」
 
 
 
 
それは私が聞きたいよ。
人生に絶望した覚えもないのになんで私がそんな夢見ないといけないの…
 
 
 
私は怖くなりその日はご飯が喉を通らなかった。
 
 
 
誰だってそうだよね…
死ぬのが怖くない人なんていない。
私はまだ死にたくないよ。