しまった。
私のとなりにいたおばあちゃんが、目を丸くして私とシノノメさんを交互に見ている。
「……キョウコちゃん、どうしたの」
「……おばあちゃん、先にリビングへ戻ってて。私、シノノメさんと話さないといけないことがあるんだ」
おばあちゃんは異様な空気を察したのか、そそくさと廊下へ消えていった。
私一人じゃ危険かもしれないけど、おばあちゃんがいたってシノノメさんに太刀打ちできない。
なにより、まだわからないじゃない。シノノメさんはもしかしたらストーカーじゃないのかもしれない。私の早とちりだっていう可能性もある。昨夜のことでおばあちゃんがお礼を言ってたんだし、悪い人ではないかもしれない。
シノノメさんがストーカーじゃなかったのに、おばあちゃんが警察に通報でもしたら大変。だから私はおばあちゃんに通報するよう言わなかった。
もしものことを考えて。
あらためてシノノメさんを見ても、やっぱり端正な顔立ち。真面目そうな人だし、やっぱりこの人が犯人だというのには違和感がある。
顔で判断するのは私の悪いクセだと思うが。
「……」
無言で立つシノノメさんはやっぱり笑っている。