「で、シノノメさんはどうしてこちらに?」
私の背後にいたおばあちゃんが、私の隣まで出てきて言う。我に返った私は、口角を素早く戻す。そんな私には目を向けず、シノノメさんは話しはじめる。
「ああ、そうでした。ちょっとキョウコさんのことが心配でして」
「キョウコちゃんのこと? あ、昨夜はどうもありがとうございました」
おばあちゃんは深々と頭を下げる。
昨夜のこと? それがシノノメさんが家に訪れた要因?
一人考えていると、
「キョウコさん」
「は、はい」
突然、シノノメさんが私を視界に入れる。
「手紙、読んでくれた?」
「えっ」
草むらにある手紙のことだろうか。手紙のことは私しか知らないはず。
それをシノノメさんが知っているということは……手紙を出した本人。つまり、ストーカーは私の予想通りシノノメさん……!
彼はまた爽やかに笑ったが、その笑顔は恐ろしいもの以外何でもない。完全に、私の疑惑の目はシノノメさんに向けられている。