そんなことより

 「ねぇ」

 「あ?」

 「なんであたしの名前知ってるの」

 あたしは自分の名前を言った覚えはない。

 「あー。知ってたから」

 ふーん。

 ってなるわけない!

 「意味わかんない…」

 そう小さい声でつぶやいた声はバイクのエンジンの音で消された。