「アルファス王」

アルファスは、ギアスを正面から捉えた。

「ギアス」

「もう民族間の争いを終わらせたい。私の代で。生きている間に話し合いをすべきだったが……」

アルファスはザリンダルを下ろし、ギアスを見上げて唇を開く。

「ザクシー族族長ギアス。何年かかるか分からないが話し合いを続け、出来るだけ早くザクシー族に故郷の土地を返すと約束する。そしてこれからは民族のわけ隔てをなくし、ザクシー族をティオリーン帝国の民としてあたたかく迎え入れると誓う」

アルファスはここで一度言葉を切ると、改めてギアスに向かってこう切り出した。

「それから、我々の先祖が犯した罪を詫びる。許してくれ」

ギアスはそれを聞くとしっかりと頷き微かに笑った。

「もう昔の事だ。お互い罪を犯したが、これからは新たな関係が築けるように望む」

アルファスは、強く頷いた。

「約束する」

ギアスは愛世を呼んだ。

「アイセ…」

「……はい」

愛世はギアスを見上げた。

「アイセ、礼を言う。我々の歴史を学びエリーシャを心から理解しようとしてくれた事を……ありがとう。感謝する」