「グアアアッ!」

地の底を這うようなエリーシャの叫び声が響き渡る。

エリーシャ……!

その瞬間、騎馬隊の剣を身に受け、エリーシャの身体がグラリとよろけた。

「いまだ!一気にかかれ!大蛇を仕留めるぞ!」

アルファスとディアランが騎馬隊の指揮を執り、先頭にその姿が見えた。

「やめてーっ!」

愛世は大きく両手を広げると、エリーシャと騎馬隊の間に割って入った。

「お願いです!待ってください!」

そこはまさに、ディアランに援護され、アルファスがエリーシャに向かってザリンダルを振り下ろす瞬間であった。

「アルファス、お願い、やめて!」

「馬鹿な!どけ!アイセ!」

「どけない!!」

「何故だ!?」

アルファスは激しい怒りを瞳に宿したまま、アイセを見据えた。

ディアランもまた、血相を変えてこちらを見ている。

愛世は一生懸命答えた。

「だってこうなったのは歴史のせいよ。最初から山賊だった訳じゃない!アンジー族と、山賊と呼ばれるようになってしまったザクシー族の民族間の問題を知るべきだわ!」

民族間の問題。