車で移動中に、嬉しいことがいくつかあった。

その最初のひとつに、運転中の光輝に早紀が声をかけたことだった。

なにしろ、普段の早紀だと無言でのドライブかと思っていたから意外だった。


「ねぇ、良かったらガムを噛む?」


と早紀が光輝に言ったのだった。


「あ、うん。ありがと!」


と光輝は言った。

言いながら、凄く嬉しく感じた光輝だった。