───「熱はない」
計り終えた体温計を見つめて、高島先生は口を開いた。
「んー………。」
「……」
「季蛍さ。……明日仕事休め。」
「イヤ、イヤです」
「…第一今日来ても辛い思いしただけじゃん?明日はさ、蒼先生にも休みとってもらって…家にいろ」
「イヤ、蒼に迷惑だけはかけたく…」
「自分の体が最優先だろ…?」
「………イヤ、絶対休まない…」
「…蒼先生に明日は1日だけついててもらってさ。明日休んだら明後日良くなってるかもしれないだろ?」
「イヤっ………」
「……な。蒼先生には伝えとくから。俺からさ」
「…………」
「…大丈夫、そんなに酷くなさそうだから」
そう言って私の頭に手を置いた高島先生は、
「蒼先生…、心配してるから」
そう言って、蒼みたいに口元を緩ませて笑った。