現実から意識を離そうかとしている………いわゆる…夢の中と現実をさまよっている時。
椅子を引っ張られて、私は目を開ける。
「……だから来るなって言っただろ」
目の前に腰掛けた蒼が、私の前髪をそっと分ける。
「………我慢するな」
「…………ッ」
「季蛍…最近あんまり体調良くないからさ」
「………」
「無理すると……ほら………ね、悪化しちゃうから」
「……」
泣かないって決めてたのに、自然と溢れてきた涙を止められなくて…白衣の袖で拭った。
涙を止めようとして唇をかみしめていると、
「まーた我慢する。………我慢するな、って言ったばかりだろ?」
「うぅッ………」