夏来についていき、リビングに入ると、床にうずくまる季蛍がいて。






ああ、ママって言いたかったのね。









「………季蛍、」









「んー……………んー…」









「どうした?」










夏来も季蛍の隣にしゃがんで、覗き込んで








「まんま………」









と心配そうに目をクリクリさせている。










「……はぁ」









なんだかわからないけど、きっと季蛍のことだから何かあるだろうと思い、とりあえず荷物を下ろす。









「夏来、おいで」









「ぱぁぱ」









「夏は向こうの部屋行ってよーね」









「あんねー、今日くましゃんがてえびでね」
(あのね、 今日くまさんがテレビでね)








「うん、」









抱き上げた夏来と向こうの部屋へ。








「……じゃあここでくまさん見てて」









「うんー」








部屋の電気をつけてから、またリビングへ戻る。








「…季蛍、どうしたんだよ」









「んー………………んぐ…」









俺もしゃがんでのぞき込むようにするんだけど、余計俯いてしまう。








「季蛍さ…顔あげて?」









「やっ……」









「どこが痛いんだか知らないけどさ…。とりあえず」









「………んん」









強引に顔をあげさせて、前髪を手でかきわけてあげると、目は潤んでいた。








「なーに………どうしたの?言ってくれないとわからないよ」








ちょうどその時、隣の部屋から大音量で







『クマクマクマクマ』








と、謎の音楽が流れ初めて…俺は苦笑いで隣の部屋へ。








大音量の犯人は、テレビの前でリモコンを押しまくっていた夏来なんだけど。








本人は大音量が出たことにご満悦。






「うきゃきゃ」









「なーつーき。……うるさいでしょ、そんな音大きくしたら」









「ぱぁぱ」










「小さくして」








「あい!」








ニッコニッコの夏来に少し呆れ笑いを向けて、またリビング。