────あれから数時間。
ちょっと入るのに気が引ける。
ゆっくりとドアを引いて、家の中に足を進めた。
「……ただいま」
「蒼ぃぃ……ッ…」
やっぱり………。
夏来に号泣でもされたのか、面倒を見ていたらしく…。
だるさからか、半泣きの季蛍がリビングの真ん中にぺたりと座り込んでしまって。
「…どうした」
「夏ッ……夏が…ッ…」
「夏来が?」
「お腹すいたっ…て、……言って…作……ッ」
限界が来ていたらしく、近寄った俺の服をギュッと握りしめて、涙目で俺を見上げた。
「…作ったの?頑張ったな」
「辛……ッ…か……ッ」
「ごめんごめん、遅くなっちゃった。でも夏来食欲あるんだ…良かった」
「蒼ぃッ」
「………」
熱すぎる季蛍を抱きながら、そっと頭をなでた。