ガヤガヤと賑わう部屋の中ではとてつもなく音痴な歌声が響き渡る。







そして、なぜかあたしの隣に成瀬くんの姿はなくて知らない男のひとに挟まれている。






こ…こわい。



威圧感が半端ないっす。







「香奈ちゃんだよな?なんか歌えって」








「いえっ、あたしは結構です」









「つれねぇなぁ。つか、咲夜と付き合ってるんでしょ?」










「はいっそうですけど…」










「あれ、いいの?」





あれ?



チャラ男が指差す方へ視線を向ける。







「なっ…!」








楽しそうに笑う成瀬くんの肩に寄り添うように頭を寄せるネネさん。








「なにあれ!」









「気をつけなよ?ネネ、あぁ見えて一途でいまでもあいつのこと好きだから」









「そうなんだ…」









だからってあたしの前であんなこするのはどうかと思うんですけど。









「妬かないの?」








「まさかっ。そんな小さい女じゃないですから」





成瀬のばか。





そこらへんにあったジュースを手に取りやけになって一気飲みをした。









…あれ?





なんかふわふわする。








「あっ、香奈ちゃんっそれ酒!」







「さけ…?」








「ちょ、大丈夫か?」






「大丈夫大丈夫っ…ひっく」










なんか…暑い。





「香奈ちゃん?」







なんだここは…。






サウナ?脱いじゃおーっと。






来ていたブラウスのボタンを外していく。






「ちょ、香奈ちゃん!」








すると手をつかまれ、止められた。






あれ…?なんでお父さんがこんなところに?






「ぱぱぁ」








パパの腕を掴んでしがみついた。








「…香奈ちゃん。このまま咲夜に内緒で俺のうち来ない?」







「家…?」








パパのうち?


そんなのあたしの家ジャーン。






「行く行く…い…」








「えっ香奈ちゃん!」









そこであたしの意識は途絶えた。