「ねぇ。藤井さん」
名前を呼ばれて振り向く。
「なぁに?」
「俺と付き合おーよ」
「どうして?」
「好きだからだよ」
何言ってんのコイツ。
キモすぎ。
なんでこんなやつに告白されてんの。
あたしに喋りかけんな尻軽男。
…とは言えないから。
「ごめんなさい。あたし、好きな人いるからぁ、付き合えないよぉ」
目をうるうるさせて上目遣いで見ると、
「そ、そそそ、そっか。ご、ごめんね」
何キョドってんの。キモ。
「ううん。こっちこそごめんねぇ」
そんな事微塵も思ってないけど。
「いやいやっ呼び止めてごめん。じゃっ」
そう言ってあたしから離れた。