8:10
わずかに人が集まり出した教室。
朝の静けさの中に数人の話し声

私は小説を読んでいる。
大して興味をそそらない。
暇つぶし程度の本。


朝からそんな卑屈になっていると、誰かが勢い良くドアを開けた。

「おはよう!」

あきほだ。
彼女は毎朝、教室に入るときの挨拶を欠かさない。

「おはよう、あきほ。今日も元気だね」

笑いながら返す。
あきほが来ると、退屈な時間も消える。