「ところでケンは受験するの?」

アキが天井を見つめながら言う。

「まさか、俺んち母子家庭だもん。当然公立だよ」

一瞬間があった。

「ごめん、知らなかった‥‥」

「ちょっとやめろよな。俺嫌なんだよね。同じ不幸な境遇同士って哀れみあうのわ」

アキがきっとにらんだ。

「そんなわけないでしょ。あんただけが私んちの離婚知ってて、私だけが知らないってのに不公平さを感じただけだから!」



これでこそアキ!

俺たちは大丈夫だ。