「おばさん、すみませんでした」

翌日コウは学校を休み、僕はいてもたってもいられず、学校帰りにコウの家に寄った。

「やだ、ケンくん、そんな顔しないで」

コウの母親は、いつもどおりのやさしい微笑で僕を迎え入れた。

「ケンくんは初めて見たからびっくりしたでしょうね」

「いえ‥‥」



本当は震えが止まらなかった。

あのままコウが死んでしまうのではないだろうかと恐ろしかった。



「コウは大丈夫よ。今日は大事をとって休ませただけだから」



コウがひょっこり現れた。

「ケンくん、こんにちわ」

本当だ、元気そうでよかった。

昨日あんなことがあったなんてうそのようだ。

「コウ、ピアノやりますか?」

僕は思い切って聞いてみた。

「はい、僕ピアノやります」