「おばさん、すごいなあ。僕の母さんとは正反対だよ」

僕は感嘆のため息を漏らしてしまった。

「そうなの?」

コウの母は戸惑い気味の笑顔を浮かべる。

「うちの親子はおばさんところと全く逆だよ。僕がいつも母さんの心配をしている」

「そっか。じゃあ、うちと反対だ」

「そう思うでしょ?」

「ってことは私とケンくんは似てるのかな?」

「うん。実はずっとそう思ってきたんです」

正直な気持ちだった。

初めて頃から何かピンとくるものあった。

「だから僕はコウと一緒にいるとなじむのかもしれない」

「凸と凹。ふたつが組み合って一つになれるのと同じだね」



僕はコウの母親と一緒にいることが好きだった。

彼女は同士というか、僕の思いをいちばんわかってくれる存在だと確信していた。

だから彼女には自分をさらけだせる。

本当の自分を見せることができると思っていた。



「じゃあ、おばさんもう一度合わせますよ」

僕のピアノに合わせて、コウの母親が歌う。

伸びやかな張りのある声。

英語もなめらかだ。