アキとコウの母親は顔を見合わせたと同時に立ち上がった。

そしてもつれそうになる足をなんとか交互に前へ出し、その声のところへと向かった。




玄関には懐かしい二人の姿があった。

背の高い色の白い青年というより少年に近い男の子はコウだった。

まんまるだった頬はすっかりそぎ落とされ、大人に近づいた顔に変わっている。

「アキちゃん」

彼はまっすぐアキを見つめて、はにかむように笑った。

「コウ、お帰り」



そして、コウより少しだけ背の高い男はすっかり青年の顔つきだった。

日に焼けた褐色の肌、太い首、筋肉質の体つき。

涼やかな目元だけはあのときと変わらない。

「ケン……ね」

アキは八年前とはすっかり見違えてしまったケンに戸惑い、伸ばしかけた手を引っ込めてしまった。




「ケンくん、立派になって……」

コウの母は涙で声にならない。

「やっと戻ってきました」

ケンの白い歯がのぞく。

「どこでコウに会ったの?」

「バスを降りたらばったり。お互いすぐに誰だかわかりました」

「そう。コウ、自立支援センターの帰りだったのよ」