「私たちのクラス発表のこと」

「忘れられるわけなんかないわ」



二人は八年前のあの日のことを思い出していた。

あのとき私たちの心は確かに一つになり、お互いの心をふるわせた。

胸の奥で魂が叫んでいた。

それはみんなが初めての経験で、湧き上がる感情をどうコントロールしたらいいかわからいものの、とにかく嬉しくて、やたら泣けてきた。



「私たち輝いていたわ」

「やだあ、アキちゃん。若いのにそんな昔を懐かしむような言い方して」

コウの母はぷっと吹き出した。

「だっておばさん、私あそこまで自分が輝いているって思える瞬間がないの」

「そうね。あのクラス発表は本当に素晴らしかったものね」



縁側に吊るされた風鈴が澄んだ声で歌う。

もうすぐ夏も終わりだ。



「おばさん、もう一つ」

アキは座布団をはずして正座しなおした。

「どうしたの、急に改まって」

コウの母は、驚いたような顔で目をしばたかせる。