「あんたの彼氏がいるのは七戸って言ってたでしょ」

「うん」

「この国道4号をまっすぐ行けば着くみたいよ」

「うん」

「で、どうするの、これから」

「どうしよう」

「ちょっと、なんか考えてはきたんでしょ?」

幸は呆れたような顔で、助手席のアキを小突いた。

「住所知らないんだよ」

「はあ?」

「でも電話番号は知ってるからさ、タウンページかなんかで袴田って名前と電話番号を照らし合わせて、そしたら住所がわかるでしょ」

「まあね、東京じゃないから電話帳に名前を載せてないってことはないだろうからね」

「なんかわくわくしちゃうね」

幸は本当に楽しそうに言った。