「父さんのどんなところが好きになったの?」
母は、穏やかな笑みを浮かべる。
「そうね。まず、低くてやさしい声」
「僕も好きだ、父さんの声」
母は嬉しそうに笑った。
「ケンといっしょだなんて母さんも嬉しいわ」
僕は父との最後の電話の事を思い出していた。
父のゆったりとした低い声。
今でもしっかりと思い出せる。
「たぶん‥‥父さんの全部が好きだったわ」
母はまるで夢でも見ているようにうっとりと目を潤ませた。
「いったいなんて告白したの?」
「ストレートに言ったわ。『どうしようもないくらい好きになってしまったから付き合ってください』って」
「なんか、母さん、すごい‥‥」
両親の恋愛話を聞くのは生まれて初めてのことだった。
冷静に話を聞こうとは思うのだが、話の一つ一つに現実味が感じられない。
まるで映画のあらすじでも聞いているようだ。
母は、穏やかな笑みを浮かべる。
「そうね。まず、低くてやさしい声」
「僕も好きだ、父さんの声」
母は嬉しそうに笑った。
「ケンといっしょだなんて母さんも嬉しいわ」
僕は父との最後の電話の事を思い出していた。
父のゆったりとした低い声。
今でもしっかりと思い出せる。
「たぶん‥‥父さんの全部が好きだったわ」
母はまるで夢でも見ているようにうっとりと目を潤ませた。
「いったいなんて告白したの?」
「ストレートに言ったわ。『どうしようもないくらい好きになってしまったから付き合ってください』って」
「なんか、母さん、すごい‥‥」
両親の恋愛話を聞くのは生まれて初めてのことだった。
冷静に話を聞こうとは思うのだが、話の一つ一つに現実味が感じられない。
まるで映画のあらすじでも聞いているようだ。