電話を切ってから、アキは自分の子供じみた考え方を思い知らされたようで、悔しくてたまらなかった。

自嘲するしかなかった。

自分はケンに何を言うつもりだったのか。

ケンを支えるという建前で、自分の気持ちを吐き出したいだけだったのではないか。

結局、ケンも自分も無力な子供で、自分には何もできないことを改めて認識するしかない。



電話が鳴った。

母だった。

「アキ?」

「母さん」

「どう?彼氏とは連絡取れた?」

「とれたよ」

「何、浮かない声出しちゃって」

「いいでしょ、放っといて」

「何よ、私に池袋まで行かせといて」

「ごめん、父さんは?」

「アキは彼氏からの電話を待っているから、あんたのところには行けないからって言っといたよ」

「は?」

この母親は何を考えているのか。

「冗談だって。今から来れる?父さんずっと待ってるってよ!」

「ありがとう、母さん!」