「ごめんなさいね、これが私にできる精一杯だわ」
アキの手のひらには、袴田孝之という名前と見慣れない電話番号が確かにあった。
ケンのおじいさん……。
アキは食い入るようにその番号を見つめた。
「先生、ありがとう。これでケンと連絡がとれる!」
「ここのおじいさんおばあさんは、ケン君の亡くなったお母さんのご両親なの。理由があって、ずっと音信不通だったらしいのだけど、お母さんのことをいつも心配されていて、なのに、あんな形で亡くなってしまったから、この土地を憎んでいらっしゃるようなの。だから孫であるケン君のことも二度とこの土地に近づけたくないって考えていて‥‥。アキさんが電話をかけたとしても取り次いでくれない恐れがあるわ。それだけは覚悟していて」
「もし、電話で連絡が取れなかったら手紙を書きたいの。先生連絡先教えてくれますか」
「はっきりした住所はわからないの。青森県七戸町ということしか‥‥」
沢村は申し訳なさそうに、うつむいた。
「先生、気にしないで。十分やってくださったわ。公務員の守秘義務があるでしょ。私このこと誰にも言わないからね」
アキは無理に笑ってみせた。
アキの手のひらには、袴田孝之という名前と見慣れない電話番号が確かにあった。
ケンのおじいさん……。
アキは食い入るようにその番号を見つめた。
「先生、ありがとう。これでケンと連絡がとれる!」
「ここのおじいさんおばあさんは、ケン君の亡くなったお母さんのご両親なの。理由があって、ずっと音信不通だったらしいのだけど、お母さんのことをいつも心配されていて、なのに、あんな形で亡くなってしまったから、この土地を憎んでいらっしゃるようなの。だから孫であるケン君のことも二度とこの土地に近づけたくないって考えていて‥‥。アキさんが電話をかけたとしても取り次いでくれない恐れがあるわ。それだけは覚悟していて」
「もし、電話で連絡が取れなかったら手紙を書きたいの。先生連絡先教えてくれますか」
「はっきりした住所はわからないの。青森県七戸町ということしか‥‥」
沢村は申し訳なさそうに、うつむいた。
「先生、気にしないで。十分やってくださったわ。公務員の守秘義務があるでしょ。私このこと誰にも言わないからね」
アキは無理に笑ってみせた。