「す、好きって、そんな‥‥。ケンは仲間だし、大切だから、そういう意味では確かに好きだけど、初恋とかそういうんじゃ‥‥」

アキは下を向いてしまった。

「でも好きでしょ?」

沢村の手のひらに乗せられている気分だった。

確信をついてくる言葉から逃げも隠れもできない。

「はい」

アキの返事を聞いて、沢村も安心したようだった。

「そうよね。好きな人のことはなんとかしてあげたいって思うのが自然だもの。私もケンくんのこと好きよ。だからアキさんと同じ。なんとかしてあげたいと思ってるわ」

「だったら‥‥」

アキは沢村にすがりつくように言った。

「そうよ、その通り。でもね、大人の事情があるのも事実なの。だから、少し私に任せてくれないかな。いずれ必ず、ケンくんと連絡が取れるようにしてあげるから」