「先生、ケンはどうしてるんですか」

アキは芝山を問い詰めた。

「アキ、ごめんな。先生の口からは言えないことが多くて‥‥」

芝山はアキの目を見ることができなかった。

「公務員の守秘義務ですか」

「ごめんな」

「なんのための守秘義務なんですか?ケンが‥‥ケンのためにどうしたら一番いいか‥‥それじゃなんにもできないじゃないですか」

アキは芝山をにらみつけた。

「私は、ケンのために何かしてあげたいんです」

芝山は苦しんでいた。

アキのいうことはもっともだ。

自分だってケンのためにできることならなんでもしてやりたい。

芝山は拳を握り締めることしかできなかった。



「芝山先生、ちょっと‥‥」

二人の様子に気づいた、沢村が声をかけた。