島野は以前連絡をもらっていた冴子とケンの住む小さなアパートを探し当てた。

古い木造のアパートでその家を見るだけで、二人の暮らしぶりが想像でき、胸が苦しく
なった。

呼び鈴を押そうとしたが、ドアに鍵がかかっていないことに気がついた。

部屋に入ると、テーブルに手紙とラップをかけられた朝食が置かれている。

島野は手紙を読んで、涙ぐんだ。



ケン‥‥。

母さんのこと、ちゃんと守ってくれているんだな。

ありがとう。



「冴子!」



呼んでみたが返事はない。

この部屋か?

台所に続く和室の引き戸を開けて、島野は崩れ落ちてしまった。

鴨居にかけられたロープに冴子は首をくくっていた。




「冴子ーーーーっ!!!」