「どうしたいの?」

島野は駅前の喫茶店で向かい合った冴子に聞いた。

「産みますよ」

冴子は冷静だった。

万事冴子の思うとおり進んでいる。

萎縮しきった島野は既に冴子の掌中にあると確信していた。

腹の底から笑いたい気分だった。

「産むって言ったって‥‥」

島野の困惑しきった表情を見ていると、目的が達成されそうな予感がして、喜びがこみあげてくる。

「島野さん、奥さんと別れて、私とこのおなかの子と一緒になってください」


もう少し追い詰めれば、この人はきっと私のものになる。