「…………はぁっ……もう、振り切ったよね……大丈夫……だよね?」
「あぁ……っ、ここまで来れば、大丈夫だろ……」
深夜の路地裏。
曇っている所為か、夏とはいえ少し肌寒い時間帯。
そんな中で、2人の男女が、なにやら怯えた表情で息を吐いていた。
その首元では、金属質の黒光りする“ナニカ”が、重そうに肩に食い込んでいる。
――ジャラ
女の方は、動くたびに手首のあたりからこれまた重そうな金属音がする。
「ねえ、――。逃げられて、良かったね」
「あぁ……」
その時、男がニヤリと不気味に笑ったことに、女は気づくことができず――。
「…………えっ? ……ちょ、何っ……どうしたの……やめ、っ!? いやっ!!!! やだ、やだ! やめてぇええ!!!!」
女の絶叫が辺りにこだました。
しかし、誰も彼女の声を聴くことはなく。
女は、為す術もなく「数人の男たち」に一晩犯された――――。