百合矢を、ただユックリと見た。

営業スマイルを残したままだ。

「知ってて…」

そう言おうとした桜華を完全に無視する。

「桜華…大切なパートナーになる方々だぞ。挨拶しなさい」

仕事以外に百合矢が動くことなんてない。

きっと神楽の力が欲しいのだろう。

桜華は、すぐにでも怒りに任して部屋を出ていきたかった。

しかし、ポーカーフェイスを貫き、『仕事』を貫き通した。
















この日の事を、桜華は雛子に言えなくて。

雛子の事を百合矢は一切聞く耳持たずで、また海外へ旅立った。


雛子に祐希奈の事を言えないまま、祐希奈との話は、ユックリと、しかし確実に水面下で進んでいった。