警察からの説明は、淡々と終わった。

父を乗せたリムジンに大型トラックが突っ込んだのだ。

居眠り運転。
長距離運転手だった。

父は即死。
苦しまずに逝ったのだろう。
それだけが、雛子の救いだった。


父の葬儀が終わり、立ち直れないでいた雛子に、次の災難が降ってきた。


「雛子ちゃん。今日から、叔父さんが、神楽家の当主だよ…」

父の弟がやって来た。

父と当主の座を奪い合って、負けた叔父。
当然、雛子にも敵意を剥き出した。

「雛子ちゃんは、衣頼さんに似て、綺麗に育ったなぁ。」

衣頼(いより)とは雛子の母だ。

「その美貌なら、いくらだって、食っていけるさ」