シャワーを浴び終わると、雛子の為に用意されたバラを浮かべたバスタブに体を浸けた。

「〜」


浴室から出ると、用意されていた浴衣をサッと羽織るように着た。


脱衣場を出た雛子に、待っていた史乃が、眉を寄せた。

「雛子様!何度言えば分かるんですか?」

「え?」

「いくらお屋敷の中とはいえ、もう少し、ちゃんと着て下さらないと!」

「史乃ったら…」

クスクスと可愛らしい声で笑う。

「誰も見てないってば!」

「お屋敷の中にも、男性はいるんですよ!少しは自覚して下さい!」

プーッと膨れる雛子を見ながら、史乃はササッと浴衣を直した。

どうやら、雛子は、自分の容姿の良さに気づいていないようだった。

何度言っても、雛子は隙を作る。
史乃は心配でならなかった。