やっと屋敷についた桜華は、篠原が車のドアを開けると素早く出る。

「きゃぁぁぁーー」

次の瞬間、悲鳴が聞こえた。

尚人と目が合う。

桜華は走りだし、玄関に飛び込んだ。

エントランスにつくと、使用人達が震えていた。

「桜華さ…ま」

階段の上で鈴音が泣き叫んでいる。

桜華は鈴音の前で倒れている雛子を見つけ、走りよった。

「雛子!雛子!」

真っ赤に染まるワンピース。

虚ろな瞳が桜華を捕らえた。

「お…うか…」

伸ばされた手は、血で真っ赤になり、震えている。

「雛子…!」

伸ばされた手を掴もうとした時、その手が力を失い落ちていく。

「うわあぁぁぁ!雛子!」

桜華は気がふれたかと思うほど取り乱した。

「桜華様!今救急車を呼びました!頭を打っていたら大変です。動かしてはいけません!」

気を失った雛子を抱き締め、震えている。

「尚人!」

急に鈴音が叫んだ。

「私の病院に急いで!雛子っ妊娠しているの!早く連れていかなきゃ!」

その言葉に桜華達は声を失った。