軽く祐希奈の手が雛子の胸を押した。

階段を背に追い詰められていた雛子は、いとも簡単に態勢を崩した。

「雛子!」

何かを掴もうとするように、雛子の手が空を切った。

無表情の祐希奈が遠ざかっていく。

まるでスローモーションのように感じた。

雛子は階段を転げ落ちていく。

階段の踊り場に落ちた雛子は、激しい腹痛を感じた。

鈴音が走りより叫んでいる。

「いやっ…雛子!」

「お腹…いっ…たい…」

涙が溢れる。

鈴音は雛子の白いワンピースが下腹部から真っ赤に染まっていくのを見てしまった。

「きゃぁぁぁーー」

鈴音の悲鳴が屋敷の中に響いた。