店の前で、スタッフ達に見送られながら、車に乗り込み、家に急ぐ。

「やっと、この日が来ましたね…」

尚人が言った。

「あぁ…」

店の名前が書かれた袋から、箱を取り出すと、ポケットに入れる。


ふと、指輪を受け取った雛子を想像した。

きっと、目に涙をいっぱい溜めて喜んでくれるだろう。

家を出る前に雛子に

『帰ったら話したい事がある』

と伝えた。

気づいているだろうか?

いや、雛子の事だから、まったく予想していないだろう。

きっとビックリする。

可愛い反応をしてくれるはずだ。


早く伝えたい!



『結婚しよう!』





家路を急ぎ、車を飛ばさせた。