「ここが、更衣室。メイクルーム込みだからね」

結構広い部屋にはロッカーや大きな鏡が沢山あった。

部屋の中央に置かれた大きな丸いテーブルには、沢山の化粧ポーチが散乱していた。

「メイクとか着替えは全部ここでしてね。荷物はこのロッカーにいれたらいーよ」

「はい!」

「今週は浴衣デーだから、あっちの浴衣、どれでもいいから、選んで。着せたげる。」

「あっ、自分で着れます」

「本当に?よかった!じゃーメイクは?」

「それは…自分でしたことないです…」



麗香は優しく雛子の顔を飾っていく。

フワフワとした気持ちのいい感覚に包まれていく。

目を開けた時、鏡には飾られた自分がいた。

「麗香さん、凄いです!プロみたい!」

「そりゃ、日々、自分でやってますから!」





人数分しか用意されていなかったのだろうか。

浴衣は後一着しかなく、選ぶ時間はなかった。

黒い生地に、薄いピンクや、黄色、赤の花が咲き乱れている。

(あちゃー、浴衣に負けちゃうから、皆避けてったな…)

麗香がそんなことを思っていると、いきなり、雛子が服を脱いでいく。

「えっ?ちょっ!」

「ん?」

「なんで、ここで脱ぐ…あっち!」

麗香が指差した所にカーテンで仕切られた部屋があった。