「こんばんは！」

ちょうど、店の前にいた雛子のスカウトに少し緊張気味に挨拶した。

「あー、雛子ちゃん？だったよね？」

「はい！これから宜しくお願いします！」

頭を下げると、スカウトの男は笑いながら、

「まぁ、そんなに力入れないで。最初から、それじゃー、疲れちまうよ！」

雛子の肩をポンポンと叩き、去っていった。




店の前で、立ち尽くす。

（今日から働くんだ…頑張らなきゃ！）





店に入ると、すでに営業は始まっていた。

スタッフに連れられ、マネージャー室に入った。

「おっ！きたね！」

「今日から宜しくお願いします！」


「雛子ちゃんに、指導係をつけるからね！」

「指導係…ですか？」

その時、部屋のドアが開いた。

「マネージャー？用って何？」

白の生地に赤や黄色の牡丹の花が描かれた浴衣に身を包んだ女性だった。

キリッとした目をした美女だった。

「ん？だれ？新人？」

女性は雛子をチラッと見て言った。

「そう！麗香に指導してもらおうと思ってね」

「ふーん…この子、年齢は？大丈夫なの？」

「ははは…実は17才でさぁ。18って事で、やってくけど、酒はNGで！」

「はいはい！」

麗香と呼ばれた女は雛子の顎を、綺麗にネイルをされた指で、クイッと上げた。

ジッと雛子の顔を見ている。

（わぁ…綺麗な人…）

雛子は自分が見られているのも忘れて麗香に見とれていた。

「綺麗な顔してんじゃん！年齢偽ってまで、入れたがるわけ！」

「ははは…」

麗香のツッコミに笑って逃げるマネージャー。

「服貸したげるから、こっち。」


麗香にせかされて、部屋を出た。