会場につくと、祐希奈が小型犬のように走ってきた。

「桜華様ぁ!来てくれたんですね」

語尾にハートが付きそうなくらいの猫なで声。

「あぁ…」

すかさず桜華の腕に絡んできた。

少し目をしかめるが祐希奈は気づきもしない。

それから、しばらく、いろんな会社の社長達との交流会が始まる。

入れ替わり立ち替わり、大企業の御曹司である桜華に媚びを売りに来る。

それどころじゃない心境の桜華はイライラしながら、仕方なく話を合わせていた。

すると、フッと会場の明かりが消えた。

ステージの上だけ青白い光に照らされる。

会場中の視線がステージ上に向けられた。

「本日は、お忙しい中、我が姪、雛子の為に時間を割いていただき、誠に感謝至極にございます。」

ステージの上には神楽晋也が軽く微笑み立っていた。