「僕が言うのもなんだけどさ、
本当、たち悪い性悪男だな。」


「だ〜から!そんな褒めんなって〜。」


「だから、褒めてねぇって。」


そんな性悪男とふざけた会話をしながら並んで校門を通り抜け、校庭を歩く。


「アヤくーん‼︎」
「シュウ様ー‼︎」


という無駄にうるさい歓声を
浴びながら…。


"シュウ様ってなんだよ…。
シュウ様ってどう考えても頭おかしい
だろ…。"


隣でシュウ様と呼ばれて気分がよさげな性悪男はニヤニヤとだらしない顔を
晒していた。


性悪男が手を振っただけで歓声は更に
大きくなる。


"あぁ、不快だ…。"


うるさすぎる女子の声にただでさえ
低かった僕のテンションは下がっていく
ばかりだった。







***


憂鬱だった男だらけの更衣室での着替え
を済ませ中庭へと移動する。


中庭にはすでに全校生徒が集まりだして
いた。


「なぁ〜、アヤ〜。」


気の抜けた声で僕を呼ぶシュウ。


「なんだよ。」


「なぁ、あんな子いたか?」


そう言ってシュウが指差した方向には
3人の一年生女子。


「は?
僕がそんなこと知るわけないだろ。」


「まぁ、そうだよねぇ〜。」


女に興味がない僕は名前はもちろん
顔さえも知らなかった。


そのうちの1人を除いては。