校門を通ろうとしていた所にそいつは
現れた。


「おっはよーー!」


左肩にずっしりとした重みを感じて、
自分の左横へと視線を移す。


そこには朝っぱらから暑苦しいオーラを
出しまくる男がいた。


「朝っぱらからうぜぇよ、シュウ…。」


「あ〜あ〜…。
学校の王子様がそんなこと言って
いいのかなぁ〜…?」


隣に立ち、ニヤニヤしながら
小声で脅してきやがった…。


「おはよう、シュウ!」


仕方なく王子モードに切り替えて、
しっかりと挨拶を返してやった。


すると、周りで沸き起こる歓声。


その辺の女子共は飽きずに今日も、
わーわーと騒ぎだす。


中には僕とこいつが一緒にいることに
騒いでいる女もいるようだけど…。


そこにはあまり触れないでおこう…。




「お前、ほんといい性格してるよな。」


計画的二重人格をやっている僕が言う
のもなんだけど、こいつもかなりの
腹黒だ。


「そんな褒めんなよぉ〜。
照れるじゃ〜ん。」


「褒めてねぇよ。バカ。」


両頬に手を添えてクネクネしながら、
ふざけだしたシュウにみんなからは
見えないように、蹴りを一発。


「おい…。普通に痛いからな?
ちょっとは手加減しろっつうの。」


さっき脅された仕返しにちょっと強めに
蹴ってやった。




こいつは僕の本性を知っている。


まあ、幼馴染なんだから当たり前
なんだけど…。


むしろ、本当の性格の方が僕たちに
とっては当たり前で、作っている性格
には未だに違和感がありまくるらしい。


一応隠してくれてはいるが、
こいつのせいで何度『仮面王子』が
バレそうになったことか…。


本当にこいつは僕のことを困らせて
ばかりだ。


"まあ、多分そんな困ってる僕を見て、
楽しんでいるんだろうけど…。"