◇◇◇ 「瑠璃」 部屋で伊織の本を熟読している瑠璃に話しかける。 読書の気分だからなのか、サイドでみつあみにした白髪が可愛すぎる。 「…」 ぼんやりと俺に反応してくれた瑠璃に、言葉を続けた。 「瑠璃ってさ、世界一好きなものってなに?」 「……」 実を言えば。 ここ何日間か、伊織の仕事の手伝いをするために、実家に帰っていた瑠璃に妬いていたための質問だった。 だから、歌月だよ、と言って欲しかったのだ。 が。 「……キャラメル?」 首をかしげながら答える瑠璃に、雷が打たれた。