学校の門の前に着くと、急に震えだした。

「…怖いの??」

窪野さんがきゅっと手を強く握ってくれた。


「私には今まで、兄以外と接触したことが少なくて。

ようやく離れたと思えば、窪野さんに依存してしまいます。


…やっぱり、怖いです」


少しだけ泣きそうになった。

私は今でも覚えている。


あの日、

あの時のことを。



お兄ちゃんは忘れているだろう。


「私は、親戚の家に預けてもらっているとき、近所の同い年の子供に

毎日呼び出され、苛められました。


外の人は私の事を、貧乏人の女。

兄依存の汚い女だといいました」


皆私を見る目が、憎悪に満ちていた。