窪野さんが手際よく、髪をまとめていく。
「…誰かの髪とか触れましたか?」
「あぁ。クラスメートのをいつも縛ってたよ」
チクン…。
胸の奥に、何かが引っかかる。
窪野さんが他の人に触れているところを、想像すると。
「あゆちゃん??」
「あ、いえ。早く行きたいなぁって」
「うん、楽しみだよね。ほら完成」
みつあみが、両サイドにあって、2つ結びをしている。
「わぁ…」
「可愛いよ。じゃあ行こうか」
家を出発すると、手を握ってくれた。
「はぐれないようにね」
「はい」
恋人同士の会話っていうより、子供に対しての言葉にも思える…。
そんな事を思いつつ、電車に乗った。