「嘘ですよ。窪野さん、私は今一緒に寝ているんですから。

昔なんて関係ないんです」

それは自分にも言ったかも知れない。

昔なんて関係ない。

それが本心なのかは、分からないけど。

「ありがと。愛してるよ」

「はい」

そのまま、ゆっくりと眠りに落ちていった。


「…あゆちゃん。おきな」

「…ん」

「寝癖ついてる」

窪野さんはまだ、抱きしめたままで起き上がれない。

「可愛い。ねぇ、どんな髪型にしてくの?」

「…決めてないですね」

「じゃあ俺、やっていい?」

「できるんですか??」

「勿論。これでも美容師の免許とるために、頑張ってんだよ」

そういって、起き上がると窪野さんはブラシと髪留めを持ってきた。

「後ろ向いて」