「急がねばならないのですが…」
「あぁ。じゃあ走れる?本当にスーパーは近いんだけど」
「走れます」
「それじゃ」
窪野さんが走り出すと、案外遅く感じた。
私は窪野さんを追い越すと。
「わぉ。すんごい速い。
俺陸部なんだけど、これは予想外」
「…そうですか」
「俺も負けてらんないよ」
そして、5分も経たないうちについていた。
「何買うの?」
息を切らしつつ、質問してきた。
「お弁当の中身です」
「へぇ。じゃあさ、冷凍食品ってこと?」
「いえ。手作りです。そのほうがお金も浮くので」
「っへ、手作り?!凄いなぁ…」
「そうでしょうか」
「じゃあ、野菜とかも入れる?」
「はい」
「あっちだよ」
窪野さんは優しく、エスコートしてくれた。
(…カレは高校生…かな)
口下手な私にとって、察してくれる人は本当にありがたかった。