そうだ。

俺は自己中心的だった。

あゆみと過ごしていて、やっぱり好きになる一方で
あゆみがそらのことを思っているのに、気づいていた。

だけど俺のために、感情を見せなかった。

「…俺はあゆみが好きだ。

だから俺のためなんて思わなくていい。
お前自身の人生だろ。

悔いのないように動けよ。

じゃねぇとゼッコーする」

これが俺の精一杯出来ることだ。



俺にしか、出来ないことなんだ。


「…分かった。ありがとう、藍」

「礼は後でいくらでも出来るだろ」


そらが走り出す。

俺はその背中を見つめながらゆっくり、涙があふれ出てきた。


「…あゆみ。お前は初めて会った時から、俺の初恋の人だったんだよ」


偽りのない愛情を、ただ俺は今更になって噛み締めていたんだ。