「俺は、あゆちゃんが好きなんだよ…」
気づかない振りをしていた。
「初めて会った時、何で俺が引き取らなかったか。
俺が学校に通っていた。
それと、藍が写真を見て惚れたからだよ…。
いつも藍は孤独だった。
1人ぼっちなアイツにとって、あゆちゃんが必要だと思ったから…」
窪野さんの声と、腕が震えている。
視界には、窪野さんの腕しか見えない。
(でも…泣いているんだ)
人が本当に分からない。
どうして、泣くんだろう。
「…私は、好きなんて感情がありません。
だけど窪野さんに対しては、特別なものはありました。
それでもこの感情を、出してはいけないと分かったんです」
私が窪野さんの近くにいると、藍が悲しむ―…。
「だから窪野さん。もう優しくしないでいいんですよ」