とても体温が高い。

「…今日ね、窪野さんと掃除したんだ」

「ほぉー…、俺がいないとこで男の家に行ったわけか」

「え?」

「…我慢できなくなるぞ」

藍の声が低くなった。

「…何でもねぇよ。寝ろよ」

「眠くないんだもん」

すると、藍の手が頬に触れた。

「…じゃあ眠くなるように、キスしてやるよ」

「…何で?」

「そうすれば眠くなるだろ」

優しく触れるキスの意味を、私はまだ知らない。

このときの藍の感情なんて、私が気づくはずもない。

だけど…。

温かい感情に溢れていた。

「お前の兄貴、今日も元気だったぞ」

「…そうなんだ」

「また会いに行ってやれよ」

「そうだね」

そしてゆっくりと眠りに入っていった。