字幕にはホスト業界No.1と書いてあった。
「…やっぱ人気なんだ」
料理をする手を動かそうとしたとき。
「「栗崎さんは、カノジョいますか??」」
その言葉にふと、反応してしまった。
「「微妙ですが一応家にペットいます」」
(ペット…?)
「「ソイツ、無口に見えたんだけど案外可愛いトコばっかで。
俺も家に帰るのが楽しみになったんです」」
(私…迷惑じゃないのかな…)
「「だからカノジョにも近いかも知れませんね」」
涙が溢れそうだった。
(ううん、カノジョって確定じゃないんだし…。
何で涙なんか…)
だけど、その時分かった。
私は生きてきて、1度も涙なんて流さなかった。
「…」
だから涙っていうのを知らなかった。
目元が熱くなったけど、流れなかった。