私はお兄ちゃんが、それでいいなら、私もいいと思えた。
だから相手がどんな人でも、
同居しようと決意。
そして今―…。
そのアパートの家前に立ってます。
(今気づいたけど…、お兄ちゃん以外と話したことない…)
髪は地毛で、茶髪。
不良みたいって言われるかも…。
「…お前、あゆみってヤツ?」
「…」
振り返ると、イケメンと言われるような人がいた。
静かに頷くと、
「俺が、今日からお前と暮らす栗崎 藍だ」
「…」
返事をする代わりに頷いた。
「部屋上がれよ」
後ろについていくと、不思議そうに見ていた。
部屋に入ると、ラベンダーの香りがした。
「…」
「お前喋んないの?」
「…いえ。そういうわけじゃ…」
俯いて小さく呟いた。
「ふぅん…。ゆっくりでいいから―…。
俺にもなれて」
そう言ったとき、顔をあげていた。