「いいんだよ、もう」

「…話聞いてくれる?」

「いいよ。勿論」


「あの日、お前を苛めたのは…。親の教育で習ったことなんだ」


「親の教育…??」

「…近所の人は敵だから。とことん苛めろ。

それで自分以上に強いものはいないと分からせろ。

それが俺の家での教訓だった」


「…そんな」

「だから本当にごめん…今でも後悔してる」


「…今更謝っても本当は遅せぇんだけどな」

「お兄ちゃん」

「あゆみ。久しぶり」


お兄ちゃんが来て、蓮の横に座った。


「お前の環境を知らないのは、当たり前なんだ。

親に反抗が出来なかった歳だもんな。


俺等はそれを知らなかった。よく言えたな」